💎特集③ 珍しい石まで偽物が!?
2026.10.04

― ルチルに隕石ガラス。高い石ほど、買う前にちょっと待った! ―
天然石の世界には、思わずため息が出るほど美しい石があります。
金色の針が輝くルチルクォーツ。
宇宙のロマンを感じさせるモルダバイトやリビアングラス。
希少で人気のある石には、驚くようなお値段が付くこともあります。
でも、ちょっと待ってください。
「こんなに高い石なんだから、本物に決まってる!」
……残念ながら、そうとは限らないんです。😅
今回は、実際に宝石学の専門誌などで報告された模造品を手がかりに、天然石のちょっと驚く裏側をご紹介します。
💰 ① ルチルクォーツ。その金色の針、本物ですか?
透明な水晶の中に、金色の針がキラキラ。
ゴールドルチルクォーツは、その華やかな見た目から、金運の石としても人気があります。
針の入り方や透明度によっては、非常に高額になるものも。
ところが、この金色の針まで再現した模造品があるんです。
しかも、その作り方がなかなか大胆!
🔍 2018年、宝石学の専門誌に掲載された実例
2018年、宝石学の専門誌『The Journal of Gemmology』で、ルチルクォーツに似せたガラス製の貼り合わせ品が紹介されました。
報告されたのは、米国の宝石展示会で販売されていたペンダント。販売業者の説明では、その素材は中国で製造されたものでした。(あちゃ~、前回ともどもまたこの国か…😅)
その構造は、なんと……
2枚の透明なガラスの間に、金色の細い帯状素材を挟んだもの!
2018年の宝石学専門誌で報告された
ガラス製の貼り合わせ品
サンドイッチ!!🥪🤣
※実際に報告された貼り合わせ型模造品の構造を、分かりやすく簡略化した模式図です。すべての模造ルチルがこの製法というわけではありません。
まさに、偽装に偽装を重ねたサンドイッチ構造😅
いやいや、サンドイッチの具はハムとチーズくらいにしていただきたい。🤣🤣🤣
天然のルチルクォーツは、水晶の内部にルチルという鉱物の結晶が取り込まれたもの。
ところが、この模造品では、金色の素材を挟むことで針のように見せていたわけです。
「また、接着されたガラスの間に金色の箔状素材が入った模造品というものは、別の宝石関係者による観察でも報告されています。」
ここで、ひとつ大切なこと。
2018年の展示会で販売していた業者は、天然石ではないことを説明していました。
前回ご紹介した、中国産のアンバーの話と、ちょっと似ていますね(笑)
つまり、この実例そのものが詐欺事件だったわけではありません。
問題は、こうした模造品が、天然の高額なルチルクォーツとして販売されてしまった場合です。
製造技術には驚かされますが、買う側としては、何を使って作られたものなのか、きちんと知りたいですよね。
例えるなら、本物のブランド品を買ったつもりが偽物をつかまされたのか、それとも模造品だと知ったうえで、あえてそのデザインを楽しむために買ったのか。
……という話に似ています。
ただし、偽ブランド品となると、また別の法律のお話。
「闇市だから安かった!」じゃないのよ。そもそも、なぜ闇市で買っとるんじゃーーーい!! 🤣🤣
良い子の皆さん、国内外問わず、決して怪しい闇市には近づかないでくださいね!
闇市でのお買い物は、Fairy Stone対象外です!! 🤣🤣🤣
脱線しましたが…「人工石ときちんと説明して販売すること」と、「模造品を天然石と偽って販売すること」は、まったく別の話です。
☄️ ② 宇宙からの贈り物……のはずが!?
モルダバイト
リビアングラス
次にご紹介するのは、モルダバイトとリビアングラス。
これらは、隕石の衝突に関連して生まれた天然ガラスとして知られています。
ちなみに、この2つは隕石そのものではありません。
地球に隕石が衝突した際の強烈な熱などによって形成されたと考えられる、天然のガラスです。
モルダバイトは深みのある緑色。
リビアングラスは、太陽の光を閉じ込めたような黄色。
どちらも独特の魅力と波動を持つ、人気の高い素材です。
ところが……。
この2つにも、人工ガラスで作られた模造品があります。
🔍 ここが紛らわしい!
💚 モルダバイト
緑色の人工ガラスで、天然品の色や表面の凹凸を似せた模造品が報告されています。
💛 リビアングラス
天然品に似た黄色い素材が調査された例があります。2008年に宝石学専門誌で報告されたものは、人工ガラスではなく蛇紋石でした。
見た目が似ていても、素材まで同じとは限りません!
「ガラスなら、見分けるのは簡単じゃない?」
そう思った方。
残念ながら、モルダバイトの本物もガラスなんです! 🤣
違いは、自然現象によって生まれたガラスなのか、人間が人工的に作ったガラスなのか。
一方、リビアングラスに似せたものの中には、ガラスですらない別の鉱物だった例もあります。
何千万年も前の地球規模の出来事と、現代の製造技術。
同じように見える石の中に、まったく違う物語が隠れているんですね。
だからこそ、高額なものを購入するときには、販売店の説明や、必要に応じて鑑別書を確認することが大切です。
🍓 ③ 番外編:ストロベリーとチェリー。ここは八百屋じゃありません!
🍓 ストロベリークォーツ:赤やピンク系の微細な内包物によって、イチゴのような色合いに見える水晶の流通名。
🍒 チェリークォーツ:一般に、赤やピンクの模様を持つ人工ガラスの流通名。
「ストロベリークォーツは高いのに、チェリークォーツはお手頃なんですね!」
……お客様。ここは八百屋ではございません。🤣🤣🤣
名前だけ聞くと、同じ果物シリーズの天然石に思えますよね。
ところが、一般にチェリークォーツとして販売されているものは、人工ガラス。天然の水晶ではありません。
一方、ストロベリークォーツには、天然水晶の内部に赤やピンク系の鉱物が含まれたものがあります。
ただし、ストロベリークォーツも厳密な鉱物名ではなく流通名。似た見た目の模造品もあるため、名前だけで本物と判断できるわけではありません。
もちろん、チェリークォーツの色合いが気に入って、人工ガラスと分かったうえで選ぶなら、それはそれで素敵な楽しみ方です。
問題なのは、人工ガラスを天然水晶だと思わせて販売すること。
イチゴとサクランボ。
果物売り場ならお隣同士でも、鉱物売り場ではまったくの別物なんです。
「じゃあ、チェリークォーツを1パックください!」
……だから、八百屋じゃねーっての!!🤣🤣🤣
🌸 今回のまとめ
いかがでしたでしょうか。
最近、Fairy Stoneに初めていらっしゃるお客様の中にも、
「ネットで安いの見つけちゃったから!」
と、購入した石を見せてくださる方がいらっしゃいます。
それを見て、
「あらま……うちなら、もっとお手頃でグレードの高い石があるのに!」🤣
なんて思うことも結構あります。
もちろん、気に入って購入された石なら、それも素敵な出会いです。
ただ、知っていて買うのと、知らずに買うのとでは、話が違います。
安く買えたつもりが、素材や品質を知らなかったばかりに、かえって損をしてしまうことも。
そこで、そのうち機会を設けて、ネット販売に潜む闇の世界ものぞいてみたいと思います。
さてさて、どんなおっそろしい話が飛び出すことやら……。🤣💎
🖊 今日の編集室
今回の特集、気づけば金色の針から宇宙へ飛び立ち、最後は八百屋に着陸しました。🤣
それでは、恒例の編集室採点!
🏆 今回の編集室採点
🥪 模造ルチルの製造技術
⭐⭐⭐⭐⭐
発想はすごい。でも、具材のチョイスがおかしい。🤣
☄️ 隕石衝突のスケール
⭐⭐⭐⭐⭐
何千万年も前の地球、やることがデカすぎる。
🍒 チェリークォーツのネーミング
⭐⭐⭐⭐⭐
かわいさ満点。八百屋との区別は各自でお願いします。🤣
🤣 本日の編集長の脱線具合
⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐
5点満点のはずが、もはや採点不能!!🤣🤣🤣
📚 今回の参考資料
① 模造ルチルクォーツ
英国宝石学協会(Gem-A)『The Journal of Gemmology』2018年、第36巻第1号、20〜21ページ。
「Glass Doublets Simulating Rutilated and Tourmalinated Quartz」
③ リビアングラスに似た素材
米国宝石学会(GIA)『Gems & Gemology』2008年夏号、181ページ。「Serpentinite Artifact Resembling Libyan Desert Glass」。天然のリビアングラスに似た外観を持つ、蛇紋石の事例。
④ ストロベリークォーツ
米国宝石学会(GIA)『Gems & Gemology』2021年秋号、282〜283ページ。「Pink Aventurine Quartz with Alurgite Inclusions」。ストロベリークォーツという流通名に関する解説。
⑤ チェリークォーツ
米国宝石学会(GIA)『Gems & Gemology』2003年春号、43ページ。「チェリークォーツ」として販売されたビーズを検査し、人工ガラスと確認した報告。
